「終活」や「エンディングノート」という言葉、最近よく聞くようになりました。
誰しも必ず訪れる最期の時を、どのようにして迎えたいのかを家族に伝えたり、
残された人へ最後のメッセージを残したり、
また、遺産分割でもめて「争族」にならないようにという願いを込めて、
エンディングノートを作成される方も多いと思います。
しかし、この「エンディングノート」、残念ながら、遺言書としての効力はありません。
では、法的に「有効」な遺言書はどのように書けばよいのでしょうか。
まず、「遺言」にはいくつか種類があります。
・自筆証書遺言
・公正証書遺言
・秘密証書遺言(これはあまり使うことはないので、今回は割愛します)
■自筆証書遺言■
自分で作成し、封をして、自宅に保管します。
「自筆証書遺言を書いた」旨をあらかじめ家族に伝えておくと良いでしょう。
相続人(家族)は、被相続人(遺言書作成者)死亡後に封筒を家庭裁判所へ持っていき、検認という手続きを受けます。
(封筒は開けないまま、持っていきます。開けてしまうと罰金がありますので、注意が必要です。)
ここでのポイントは、「自筆証書遺言」が有効なものであるのかどうかです。
いくつか注意箇所があります。
・日付の書き方(2023年3月吉日 などは不可)
・夫婦などで共同で書かれたものは不可
・自筆であるということ(動画などの映像、パソコンで作成の文書は不可。「財産目録」はパソコン使用可です)
自宅保管ということもあり、
誰かが遺言書を発見した際に、勝手に破棄・改ざんされてしまったり、
また保管場所がわからず結局見つからないこともあります。
こうしたことを防ぐため、令和二年七月、法務局で自筆証書遺言の保管制度が始まりました。
提出時に法務局の方により簡単なチェックがされる、紛失の恐れがなくなる、
また、「遺言書情報証明書」を取得することにより、家庭裁判所の検認が不要になります。
どうしても自筆証書遺言で残したい!という方は、この保管制度を利用されてはいかがでしょうか。
(ただし、遺言書の有効性を保証するものではありません。法務局では遺言の内容の相談はできません。)
■公正証書遺言■
公証役場へ行き、公証人(法律の専門家)が原案を元に作成してくれます。
方式や内容が無効になることはほぼありません。
また、遺言書が公証役場に保管されるので、紛失・改ざんの恐れもありません。
デメリットとしては、
・公証役場へ遺言者本人が行かなくてはいけない。(出張サービスもありますが、別途費用がかかってしまう)
・公証役場への作成手数料が発生してしまう(遺産の額や、遺産を受け取る人数によって違う)
・証人を二人用意しないといけない(証人は遺言者の友人、遺言作成相談をしている行政書士・司法書士など、公証役場に依頼する、など。親族などは不可)
・遺言内容を公証人が口頭で読み上げるので、証人にも内容が知られてしまう
遺産の分割が複雑である場合には、特に公正証書遺言がおすすめです。
せっかく遺言を作成したのにも関わらず、何らかの理由で無効になってしまっては
遺言者の本来の目的や想いが達成されなくなってしまいます。
遺言書作成の専門家の方々の多くは、「公正証書遺言」での作成をおすすめしています。
遺言書作成サポートはぜひ行政書士へご相談ください。
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